発行日 2005年11月1日
Published Date 2005/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006051517
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最近,冠状動脈用の薬剤溶出ステントの保険収載による急速な普及などカテーテルインターベンション機材の進歩に伴い,冠状動脈バイパス術(CABG)の低侵襲化と100%に近い開存率を目標とすることが求められている.そこで,CABG術中における不測のエラー早期発見のための血流計など各種術中計測器による異常の発見とその解決のための系統的方法および動脈グラフトの末梢吻合における側々吻合の実際について解説した.この方法を用いて5例の吻合部を直接観察し,最終的に吻合に異常はなかったが,左内胸動脈を用いた2例で中枢のグラフト解離,胃大網動脈を用いた1例でグラフト攣縮が判明し,それぞれグラフトフリーフローとグラフトへのmilrinone注入により改善した.左内胸動脈を用いた別の2例では標的冠状動脈が慢性閉塞で灌流域が小さかったが,術後造影では全例良好な開存が確認された.以上より,動脈グラフトの側々吻合法は技術的に再現性が高く,吻合部の再評価も容易で利点が多いものと考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2005