発行日 2004年11月1日
Published Date 2004/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2005055349
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69歳女.パーキンソン病・うつ病の既往がある.骨頭置換術後のリハビリテーション(リハ)中に突然意識消失,心肺蘇生後に紹介転院となった.来院時,胸部造影CTにて両側肺動脈に広範な血栓を認め,急性肺塞栓症による呼吸循環不全と診断し緊急手術を施行した.体外循環確立後に心停止下で肺動脈左右分岐部付近を切開したところ,直径7~10mmの静脈鋳型が残り,右肺動脈から5g・左肺動脈から7gの血栓を摘出した.人工心肺離脱中に大量の気管内出血を生じ,術前CT所見で右下葉に認めた肺梗塞を疑う浸潤影からの出血と判断し,人工心肺からの離脱には難渋したが血栓摘除18時間後に右下葉切除術を施行し得た.術後2日間左右別離換気・気管支鏡による頻回の気管内吸引を行い,第2病日に下大静脈フィルターを留置した.MRSAによる右膿胸を生じたが抗生剤全身投与と胸腔内持続洗浄によって治癒した.既往症のためリハには難渋し,約1ヵ月間の調節呼吸を要したが第87病日に独歩退院となった
©Nankodo Co., Ltd., 2004