発行日 2004年7月1日
Published Date 2004/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2004272957
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75歳女.約1年前に出現した労作時の呼吸困難に対して精査を行ったところ,慢性肺動脈血栓塞栓症と診断された.内服治療及び在宅酸素療法を開始したが安静時に呼吸苦が出現し,手術以外の救命は不可能と判断して肺動脈血栓内膜摘除術を施行した.本例は高齢であったため,手術に際しいくつかの工夫を行った.まず,肺動脈内の良好な視野を得て素早くより末梢まで到達するために,内視鏡により肺動脈内を観察した.また,肺動脈分枝に対して最適な角度で内膜剥離が可能となるように,先端の角度が変えられるflexibleな吸引剥離子を考案した.更に,循環停止中の脳の虚血状態を知るために,無侵襲脳内酸素飽和度監視装置を使用した.これらにより良好な結果が得られ,肺血流は回復し,症状は著明に改善した
©Nankodo Co., Ltd., 2004