発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2005017164
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46歳男.呼吸困難を主訴とした.アルコール性肝障害で受診したが,その後通院しなかった.約2ヵ月後,胸部鈍痛を伴う主訴を自覚し,緊張性血気胸と診断された.胸部X線像では,左肺は完全に虚脱し,縦隔は右方に偏位して中等量の胸水貯留を認めた.緊急手術の適応と考えられたが,高度の肝腎機能障害を合併しており,出血はコントロールされていたため,胸腔ドレナージを施行した.原因として,血気胸により一時的に出血性ショックとなり,肝,腎への血流が低下して障害が発生したと推測された.ドレナージ後,左肺の虚脱は解除され,再膨張が得られた.血管透過性亢進に対してステロイドを使用していたが,ドレナージ6時間後,トイレ歩行を契機として淡褐色泡沫状痰を大量に喀出し,低酸素血症を呈した.胸部X線像で左肺に瀰漫性にすりガラス状陰影を認め,再膨張性肺水腫と診断した.薬剤を投与し,3時間後に改善した.その後,ドレナージ後止まっていた肺瘻が再出現し,肝腎機能が改善していたため,手術を施行した
©Nankodo Co., Ltd., 2004