特集 染色体研究Update
染色体の分配異常とがん
丹野 悠司
1
,
渡邊 嘉典
1東京大学分子細胞生物学研究所 染色体動態研究分野
キーワード:
腫瘍
,
染色分体
,
セントロメア
,
微小管
,
細胞死
,
染色体分離
,
染色体不安定性
,
発癌
,
分子標的治療
,
Aurora Kinase B
,
スピンドル極体
,
Shugoshin Protein
Keyword:
Centromere
,
Chromatids
,
Microtubules
,
Neoplasms
,
Cell Death
,
Chromosome Segregation
,
Chromosomal Instability
,
Molecular Targeted Therapy
,
Carcinogenesis
,
Spindle Pole Bodies
,
Aurora Kinase B
,
SGOL1 Protein, Human
pp.1047-1051
発行日 2015年10月22日
Published Date 2015/10/22
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がん細胞に広く見られる高頻度の染色体分配異常は,染色体不安定性(CIN)と呼ばれる.CINは,細胞ががん化する過程において染色体数の変化により悪性形質を獲得する要因であると考えられている.この概念は19世紀末にはすでに提唱されていたものの,近年になってその実験的裏付けが重ねられつつある,古くも新しいトピックである.本稿では,染色体分配の基本的なメカニズムを解説するとともに,その分子機構の破綻によるがん化について最先端の知見を交えて概説する.また,CINを標的としたがん治療の可能性についても議論する.
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