特集 ストレス応答性転写因子:その新機能とがん、免疫・代謝・変性疾患との関係
転写因子Bach2による肺胞マクロファージの機能成熟と肺恒常性維持機構
渋谷 里紗
1
,
五十嵐 和彦
1東北大学 大学院医学系研究科呼吸器内科学分野
キーワード:
Granulocyte-Macrophage Colony-Stimulating Factor
,
Interleukin-4
,
シグナルトランスダクション
,
遺伝子発現調節
,
脂質代謝
,
肺
,
肺胞タンパク症
,
ホメオスタシス
,
肺胞マクロファージ
,
Chemokines
,
ノックアウトマウス
,
STAT6転写因子
,
BACH2 Protein
Keyword:
Homeostasis
,
Gene Expression Regulation
,
Lung
,
Pulmonary Alveolar Proteinosis
,
Signal Transduction
,
Interleukin-4
,
Granulocyte-Macrophage Colony-Stimulating Factor
,
Macrophages, Alveolar
,
Chemokines
,
Mice, Knockout
,
STAT6 Transcription Factor
,
Lipid Metabolism
,
BACH2 Protein, Human
pp.745-750
発行日 2014年6月22日
Published Date 2014/6/22
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組織特異的マクロファージは様々な組織の恒常性維持や病態に関わっているが,その分化機構にはまだ不明な点が多い.ヒト肺胞蛋白症(PAP)の多くはGM-CSFシグナル異常による肺胞マクロファージ(AM)の機能不全が原因であるが,原因不明のものもあり,治療法が確立されていない.一方,転写因子Bach2 欠損マウスはGM-CSFシグナルが正常であるにもかかわらず,肺サーファクタントが貯留し,PAPを発症する.筆者らはAMに発現しているBach2 の欠損によりサーファクタントを構成する脂質処理に障害が生じることや,M2マクロファージの性質が強くなり,その原因の一つとしてSTAT6のリン酸化が亢進していることなどを明らかにした.これらの結果は,Bach2がGM-CSFシグナルとは異なる経路でAMの成熟に寄与し,肺の恒常性維持において重要な役割を持っていることを示している.
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