特集 活性イオウ分子種の生理機能に迫る チオールバイオロジーの新たなステージ
細菌のH2S・RSSの代謝シグナル制御
津々木 博康
1
,
小野 勝彦
,
澤 智裕
1熊本大学 大学院生命科学研究部微生物学分野
キーワード:
Cysteine
,
シグナルトランスダクション
,
硫黄
,
抗酸化剤
,
細菌
,
酸化-還元
,
微生物薬物感受性試験
,
硫化水素
,
生合成経路
,
Persulfides
,
Polysulfide
,
架橋(生体高分子)
Keyword:
Antioxidants
,
Bacteria
,
Cysteine
,
Hydrogen Sulfide
,
Microbial Sensitivity Tests
,
Oxidation-Reduction
,
Sulfur
,
Signal Transduction
,
Biosynthetic Pathways
,
Polysulfide
,
Persulfides
pp.392-396
発行日 2015年3月22日
Published Date 2015/3/22
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硫化水素(H2S)がもたらす多彩な生理・病態生理の制御に,化学的反応性に富むシステインパースルフィドなどの活性イオウ分子種(RSS)が重要な役割を担っていることが明らかとなってきた.細菌はRSSが持つ強力な抗酸化機能を巧みに利用して,抗菌剤による殺菌作用に抵抗しているようである.また,細菌で発見されたポリスルフィドセンサー型転写リプレッサーは,その活性制御にタンパク質分子間のポリサルファ架橋というユニークな構造変化が重要であることがわかってきた.細菌によるRSSの機能制御の分子基盤を解明できれば,感染病態の新しい側面の理解や,さらには従来にないユニークな抗菌治療法の開発に大きく貢献するものと期待される.
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