特集 ストレス応答性転写因子:その新機能とがん、免疫・代謝・変性疾患との関係
ATF-2ファミリー転写因子とストレスの記憶
石井 俊輔
1
1理化学研究所 石井分子遺伝学研究室
キーワード:
ヘテロクロマチン
,
Histones
,
栄養状態
,
環境曝露
,
ショウジョウバエ属
,
ストレス
,
心理的ストレス
,
変異
,
熱中症
,
MAP Kinase p38
,
ATF2転写因子
,
エピゲノミクス
Keyword:
Drosophila
,
Environmental Exposure
,
Histones
,
Heterochromatin
,
Mutation
,
Nutritional Status
,
Stress, Psychological
,
Heat Stress Disorders
,
p38 Mitogen-Activated Protein Kinases
,
Activating Transcription Factor 2
,
Epigenomics
pp.751-755
発行日 2014年6月22日
Published Date 2014/6/22
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ストレスがないとき,ATF-2ファミリー転写因子はヒストンH3K9トリメチル化酵素をリクルートし,固いヘテロクロマチン構造を形成する.一方,様々なストレスに呼応して,ATF-2ファミリー転写因子はストレス応答性リン酸化酵素p38によりリン酸化されてクロマチンから遊離し,その結果ヘテロクロマチン構造が壊れ,転写が誘導される.その後,クロマチン構造は完全には元に戻らず,部分的に壊れたクロマチン構造が長期間持続し,場合によっては世代を超えて遺伝する.このメカニズムは,環境因子によるエピゲノム変化が多様な疾患に影響するというこれまでの観察を説明できる可能性がある.
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