【第2部:エクソソームを用いた疾患の診断･治療】 プロテオーム解析から見たバイオマーカーとしてのエクソソームとその特徴

血中バイオマーカー探索において直接網羅的にタンパク質を定量化することができるプロテオミクス技術はきわめて有効であるが，未精製の血清タンパク質を質量分析しても極微量なバイオマーカータンパク質の検出はできない．これが疾患プロテオミクス研究者の常識であり，何とか重箱の隅をつついて（特殊な精製をして）ダイヤの原石をほじくり出そうと日夜知恵を絞っている．そんな中，急速に注目が集まり始めたのがエクソソームである．本稿では，まだ気づかれていない実験上のピットフォールも含め，エクソソームタンパク質バイオマーカーの探索に必要な基礎概念を考える．タンパクマニアでないエクソソーム研究者の方にもぜひご一読いただきたい．