特集 がんにおける代謝リプログラミング:低酸素・低栄養環境で増殖するための戦略
栄養・エネルギーセンサーシグナルとがん
平尾 敦
1
1金沢大学がん進展制御研究所 遺伝子・染色体構築研究分野
キーワード:
シグナルトランスダクション
,
栄養生理学的現象
,
エネルギー代謝
,
癌抑制遺伝子
,
腫瘍
,
癌遺伝子
,
生理学的フィードバック
,
AMP-Activated Protein Kinases
,
分子標的治療
,
TOR Serine-Threonine Kinases
,
Mechanistic Target of Rapamycin Complex 2
,
Mechanistic Target of Rapamycin Complex 1
Keyword:
Mechanistic Target of Rapamycin Complex 1
,
Mechanistic Target of Rapamycin Complex 2
,
Energy Metabolism
,
Oncogenes
,
Neoplasms
,
Nutritional Physiological Phenomena
,
Signal Transduction
,
Genes, Tumor Suppressor
,
Feedback, Physiological
,
TOR Serine-Threonine Kinases
,
AMP-Activated Protein Kinases
,
Molecular Targeted Therapy
pp.157-161
発行日 2014年1月22日
Published Date 2014/1/22
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最近,栄養物質やエネルギー状態を感知するシグナルの分子機構が精力的に解析され,発がん過程やがん治療の標的として注目されている.mTORは成長因子,糖,アミノ酸などを含む栄養センサーであり,タンパク質合成に加え,糖,脂質,エネルギー代謝など,様々な細胞内の代謝調節に関わる.また,mTORはがん治療の重要な標的であるが,本シグナルへの依存性はがん種により大きく異なることや,mTOR阻害による様々なフィードバックの誘導現象が明らかとなり,がん治療戦略上,解決すべき課題も多い.AMPKはエネルギー状態を感知して活性化し,mTOR活性制御をはじめ,脂肪酸分解やオートファジー誘導などを介してがんの動態制御に深く関わるが,その役割は複雑であり,今後の機能解析が待たれる.栄養・エネルギーセンサーシグナルの理解はがんの強さ,しぶとさの核心を知ることにつながると期待される.
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