特集 がんにおける代謝リプログラミング:低酸素・低栄養環境で増殖するための戦略
Overview
島 豊
1
,
北林 一生
2
1国立がん研究センター研究所 造血器腫瘍研究分野 研究員
2国立がん研究センター研究所 副所長・造血器腫瘍研究分野長
pp.130-132
発行日 2014年1月22日
Published Date 2014/1/22
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がんは正常組織とは異なる微小環境に囲まれており,また多くの腫瘍の内部は低酸素/無酸素状態となっている.当然,がんは自身の生存のためにそのような環境に適応する必要がある.実際,がんはそのような環境下でもがん特有の代謝機構を利用して,エネルギーや生体物質を産生し,細胞死を免れて増殖している.現在,がん細胞は,好気的環境においても酸化的リン酸化ではなく,解糖系によってATP産生を行う(Warburg効果)など,様々なリプログラミングされた代謝を利用することが明らかとなっている.本特集ではこのようながん細胞のリプログラミングされた代謝制御機構を取り上げて紹介する.本稿では,Warburg効果からがん細胞における代謝異常の最近の知見まで,がん細胞が獲得する代謝リプログラミング機構を概観したい.
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