特集 毛髪再生のメディカルサイエンス:毛は生やせるか?
せるてく・あらかると
ローザンヌから愛媛へ:幹細胞研究辺境(?)物語
難波 大輔
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1愛媛大学上級研究員センター/愛媛大学プロテオサイエンスセンター細胞増殖・腫瘍制御部門
pp.1042-1044
発行日 2013年9月22日
Published Date 2013/9/22
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2012年の京都大学・山中伸弥教授のノーベル賞受賞もあり,幹細胞生物学は日本のバイオサイエンスの中でも,今最もホットな研究分野の 1つである.しかし, iPS細胞研究の陰に隠れ,組織幹細胞の基礎研究が大きく取り上げられることは少なくなってきた.そんな中,皮膚の最外層を構成する表皮角化幹細胞研究を,バイオサイエンスの研究分野では日本でほとんどなじみのないスイス・ローザンヌで開始し,幹細胞研究において日本国内での知名度が決して高いとは言えない愛媛という土地で続けている研究者がいる.ヒト表皮角化幹細胞培養法の確立と,その応用としての表皮再生医療の実現という輝かしい歴史の上に成り立つ,この研究領域のさらなる発展は, iPS細胞を中心とする今後の幹細胞生物学や再生医療にとっても,きっと役に立つはずだと信じて彼は研究を行っている.これはそんな幹細胞研究の辺境を渡り歩いている一研究者の物語である.
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