動き
Psychopathology of Schizophrenia:100 Years(スイス・ローザンヌ)」印象記
阿部 又一郎
1
1国立精神・神経センター精神保健研究所精神生理部
pp.1028-1029
発行日 2008年10月15日
Published Date 2008/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101301
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
1908年4月24日,当時のチューリッヒ大学附属精神科病院ブルクヘルツリBurghölzliの第5代主任教授Eugen Bleulerは,24~25日にかけてベルリンで開催されたドイツ精神医学会での自身の講演「Die Prognose der Dementia praecox(Schizophreniegruppe)」の中で初めて《schizophrenia》(統合失調症)という呼称を導入した。用語が誕生して100周年を記念した国際カンファレンスが,スイス・ローザンヌ大学精神科Bovet教授とデンマーク・コペンハーゲン大学精神科Parnas教授の呼びかけのもと,ローザンヌのCentre Hospitalier Universitaire Vaudois(通称CHUV)内César-Roux講堂において2008年4月24~26日に開催された。
ローザンヌはスイス西部ヴォー州の州都で,ジュネーブから電車で50分程度のレマン湖沿岸に位置する。街中心部の高台にあるローザンヌ大聖堂の美しさはスイス随一ともいわれる古都であり,また,オリンピック委員会の本部が置かれていることからオリンピックの首都ともいわれる。筆者は,かつて勤務していた病院で先輩医師に勧められた本3)の影響から,統合失調症の自我障害self-disturbanceについて神経科学,現象学双方の視点から考察しているParnas教授の仕事に関心を持ち続けている。今回,Parnas教授をはじめ統合失調症についての学際的な知見を吸収できる好機と考え,オリンピック開催年で多くの観光客が訪れる中,3日間のシンポジウムに参加した。
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.