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“エクソソーム”をキーワードとして世界の約1,000人の研究者が一堂に会した.それがISEV(アイセッブ)である.これはまさに世界の一大トピックスが間違いなく“エクソソーム”であることを疑う余地がない証拠であり,おまけにNIHに新しいグラント領域まで作らせてしまった.ISEVは,InternationalSociety for Extracellular Vesiclesの略称で,日本語で「国際細胞外小胞学会」である.この学会を組織するにあたり2011年1月にClotilde Théry 博士and GraçaRaposo博士がオーガナイザーとしてパリで開催したIWE-2011(International Workshop on Exosomes2011)においてかなり熱い討論が交わされた.200名収容の会場で230名が参加,多数のキャンセル待ちをしていた参加者もいたというから,いかにエクソソームが世界中で注目されているかがおわかりいただけるだろう.そのうち約半数の110人が発表をして,かなり熱い議論が交わされていた.日本からは,筆者の他,落谷孝広氏,黒田雅彦氏,水谷隆之氏,小坂展慶氏,秋山英雄氏などが参加した.エクソソームなどの細胞外の膜小胞に関する学術集会は,2005 年にモントリオールでエクソソームを発見したRose Johnstone博士がオーガナイズしたエクソソームに関する初めてのシンポジウムで,わずか25名の参加者であった.それから6年の間に,エクソソームが生物学的に重要なことが報告されるようになり,さらにエクソソーム中にmicroRNAが存在してバイオマーカーになる可能性が浮上したことから一気に注目されるようになった.このような発見によって,エクソソームの研究者が集結したIWEが開催されることになったのである.さらに,予想以上にエクソソームに注目する研究者がいることがわかり,ここに集まった研究者が中心となって,ISEVが結成されたわけである.
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