Japanese
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特集 蛋白質の細胞内転送とその異常
分泌蛋白質の小胞体膜透過
Protein translocation across the ER membrane
天谷 吉宏
1
Yoshihiro Amaya
1
1横浜市立大学医学部第一生化学教室
pp.90-95
発行日 1993年4月15日
Published Date 1993/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900536
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分泌蛋白質が小胞体膜を識別し,透過していく過程の分子機構はBlobelとDobbersteinの“シグナル仮説”以来,これを実証するかたちで明らかになってきた。分泌蛋白質は多くの場合,N-末端におよそ20~30残基のアミノ酸からなるシグナルペプチドをもつこと,このシグナルを認識し,リボソームで合成途上にある分泌蛋白質を小胞体膜へ輸送するのにシグナル認識粒子(SRP)とその受容体が必要であることが示されてきた。最近,SRPの54KサブユニットとSRP受容体のα,βサブユニットがGTP結合蛋白質であることが明らかになり,SRPの機能とGTPase活性の関連が新たな問題点としてクローズアップされている。
小胞体膜識別の過程に関わる因子がかなり明らかになっているのに対し,小胞体膜を識別した分泌蛋白質が膜を透過する過程に関わる因子,いわゆる膜透過装置の同定と機能解析は遅れていた。最近になり,ようやく膜透過装置と考えられる因子が同定され始め,その機能や相互作用の解析がめざましく進みつつある。ここでは酵母と哺乳類の実験系から得られた最近の知見を中心に,分泌蛋白質の小胞体膜透過機構を概説する。
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