特集 変わりゆく発生工学の今:核移植クローン・遺伝子改変の技術革新からヒト化実験動物の開発まで
せるてく・あらかると
核移植クローン技術の未来は?
小倉 淳郎
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1理化学研究所バイオリソースセンター 遺伝工学基盤技術室/筑波大学大学院生命環境科学研究科
pp.288-289
発行日 2012年2月22日
Published Date 2012/2/22
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ゲノム初期化,リプログラミング,脱分化……現在ほとんどの読者の方は,これらの用語からiPS細胞を思い浮かべることと思う.しかし今から10年ほど前には,これらの用語はもっぱら体細胞核移植クローン技術について述べるときによく用いられていた.1997年には初の成体体細胞由来のクローン羊ドリー誕生が報告され,続いて翌年にはマウスでも見事に再現され,いずれも大々的にNature誌の表紙を飾った.そして“Dolly is a clone - and no longer alone( DavorSolter)”とNews and Viewsにも華々しく取り上げられるなど,その将来が大いに期待されたものである.もちろん体細胞クローン技術は,1個の細胞から完全な個体を作出できることから,畜産,医療,製薬など多くの分野への応用が可能である.そして技術というものは常に進歩し続けるというのが大方の考え方であり,数年後には体細胞クローンも,誰でもどこでも体外受精なみに使える技術になると予想していた.
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