LIFE SCIENCE 生命科学のトピックス・7
クローン人間
本庶 佑
1
1大阪大学医学部
pp.1210-1211
発行日 1982年11月1日
Published Date 1982/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922886
- 有料閲覧
- 文献概要
クローン人間とは全く同じ遺伝子系をもった別の個体いわゆる一卵性双生児のことである
クローン人間とは,1つの個体と全く同じ遺伝子系をもった別の個体のことを指す.これは,自然界ではいわゆる一卵性双生児として出現する.
人工的にこのようなクローン人間を造ることは,これまでSF小説でいろいろ書かれてきたが,最近ネズミにおいて受精直後の胚を分割することにより,それぞれ独立の個体を造らせることが実験的に行われた.もちろん,まだ人間でこのような試みが行われたことはないが,ある学者によれば,基本的にはやろうと思えばできないことはないと言われている.植物においては,同様な実験はもっと容易である.ニンジンの体細胞を培養し,この1個の細胞から完全な個体を造ることは非常に古くから成功している.
Copyright © 1982, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.