特集 明日から始める!ジェネラリストのための転倒予防アプローチ
場所から考える転倒予防
施設で考える転倒予防
宗 紘史
1,2
,
榎本 淳子
3
1熊本県地域密着リハビリテーションセンター
2有限会社ライフケア
3玉名市包括支援センター
pp.1206-1210
発行日 2023年10月1日
Published Date 2023/10/1
DOI https://doi.org/10.15104/th.2023100005
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施設内の転倒リスク! 転倒報告場所,どこが多い?
筆者が過去に勤務していた有料老人ホームでは,施設内での転倒場所として「居室」が 最も多く報告されていた.時間帯は夜間のトイレ移動時や朝食時のホール移動,就寝前の トイレ移動など「動き出し」のタイミングに多い傾向であった.転倒事故につながる入居 者のほとんどが睡眠薬などの服薬があったことや,骨折など重篤な状況になる場合の多く が骨粗鬆症と診断されているケースが多かったことも記憶している. 高齢者施設において,転倒予防対策に積極的な傾向はあるものの,加齢による筋力低下 やバランス能力の低下もあることから予防の効果を感じることは少ない.高齢者は,施設 へ入居することによって,皿洗いや掃除などの日常生活から離れ,入居前までは生活活動 で得られていたであろう運動強度が失われる傾向にある.環境の側面から転倒予防に努め ても,身体的なリスクが高いことを忘れてはならないと考える.施設職員による環境整備 の視点も重要であるが,本稿では最も身近な「靴」の存在がバランス能力を高め,転倒リ スクを減らすことができる道具であることを記述していきたい.
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