特集 明日から始める!ジェネラリストのための転倒予防アプローチ
ジェネラリストが考える転倒予防
総合診療医が考える転倒予防
岡本 雄太郎
1,2
1山梨市立牧丘病院
2米国内科学会日本支部 予防医療タスクフォース委員
pp.1188-1192
発行日 2023年10月1日
Published Date 2023/10/1
DOI https://doi.org/10.15104/th.2023100002
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転倒予防のエビデンス
予防医療に関して信頼のおけるアメリカ予防医学専門委員会(United States Preventive Services Task Force:USPSTF)では65歳以上で転倒リスクのある人への運動介入を推 奨している1).残念ながら,死亡率低下や転倒に伴う骨折や障害の頻度低下には統計学的 な有意差はついていないが,転倒に関しては減少させると結論づけられている. 転倒リスクに関しては転倒歴を聞くのが簡便であり,スクリーニングに適している.具 体的には①1年間で2回以上の転倒歴,②転倒への恐怖心,③転倒に伴う救急外来受診歴 を聴取し,1項目でも当てはまるのなら転倒リスクが高いと捉えて介入を開始すべきであ る.また,2023 年のコクランレビュー2)では,地域で生活する60 歳以上の高齢者に対 して自宅の環境調整が転倒予防に役立つ可能性があると報告している.具体的な介入とし ては,階段の滑り止め,夜間の道案内照明,通行路の片づけ・整理,出入り口の手すりや 照明設置,階段を降りる際の手すりの使用などの環境整備が推奨されている.残念ながら, こちらに関しても転倒減少効果は認めるとされているものの,転倒に伴う骨折に関しては 統計学的な有意差はないと結論づけられている.
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