特集 患者の不安をやわらげるクリニカルスキル
伝えるスキル
患者本人への説明のポイント ─糖尿病患者の例─
三澤 美和
1
1大阪医科薬科大学病院 総合診療科
pp.692-696
発行日 2023年6月1日
Published Date 2023/6/1
DOI https://doi.org/10.15104/th.2023060003
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
「糖尿病」という病名の問題点
日本糖尿病協会は2022年11月7日,「糖尿病」という名称の変更を検討する方針を明 らかにした.患者の大半が不快感を抱いていることなどを踏まえたもので,今後数年以内 に日本糖尿病学会と連携し,新たな病名への変更が決定される予定だ. なぜ「糖尿病」という名称を変更しないといけないのだろうか.読者のなかにはご自身 が糖尿病の療養中である方もたくさんおられると思うが,人は一般的に「糖尿病」ときい て,どんなイメージを抱くだろうか.じつは英語のdiabetes mellitusも,ラテン語で通り 過ぎて消えるという意味の“diabetes ”と,蜂蜜のように甘いという意味の“mellitus ”が合 わさったもので,「尿」という表現を使わずに「渇いて通りすぎる」という意味を含めたと される1).日本語では「糖」,「尿」といった漢字が使われたことで,糖尿病の患者に対して 多くの間違ったイメージが生まれることになった.
Copyright© 2023 NANZANDO Co.,Ltd. All Rights Reserved.