特集 くじけてばかりはいられない 糖尿病看護の知恵袋
高齢化する糖尿病患者のトラブルポイント
横野 浩一
1
1神戸大学大学院医学系研究科老年内科学
pp.48-51
発行日 2003年1月1日
Published Date 2003/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100900
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高齢者糖尿病の現状と特性
わが国では欧米と比較して類をみないスピードで高齢化が進行しており,2000年には高齢者(65歳以上)が全人口の17.5%を占め,さらに2020年には28%に達する見込みである.このような背景の中で,高齢者の糖尿病有病率は約15%,その数は300万人といわれ,全糖尿病患者の約半数を高齢者が占めつつある現状である.今後,高齢化が進行するにつれて高齢者糖尿病の比率はさらに増加するものと思われる.
青壮年者と比べて高齢者糖尿病ではその罹病期間が長く,加齢に伴う動脈硬化による血流低下や臓器障害に,糖尿病特有の代謝異常が加わって,血管病変のリスクがより高いことが懸念される.実際,糖尿病の死因に関する委員会報告によると,1981年から1990年までの10年間の調査では糖尿病患者の死因は日本人一般と比べて,血管障害,特に虚血性心疾患と腎障害が多く,男性で9.4歳,女性で13.5歳短命であった.同じ糖尿病でも70歳以上の高齢者では虚血性心疾患と脳血管障害による死亡が69歳以下の症例と比べて高頻度であった(図1)1).
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