特集 ポストコロナの感染症
コロナの陰で減ったが気をつけるべき感染症
インフルエンザ合併感染症の脅威と懸念
三村 一行
1
1埼玉医科大学総合医療センター 総合診療内科
pp.318-321
発行日 2023年3月1日
Published Date 2023/3/1
DOI https://doi.org/10.15104/th.2023030005
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
コロナ禍におけるインフルエンザウイルス感染症
主に飛沫感染によって伝播するインフルエンザは,新型コロナウイルスが出現する前までは,わが国においては毎年冬季を中心に流行していた.しかし,新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019:COVID-19)の世界的大流行が始まった2019/20シーズンにはインフルエンザ流行はすみやかに収束し,以降2020/21および2021/22シーズンともにインフルエンザの流行を認めなかった.同様の傾向は諸外国においても認められており,その理由にはCOVID -19に対する各種感染対策(ユニバーサル・マスキング,physical distance,感染者隔離,手指衛生,換気など)や行動制限の影響があげられる1).しかし,2022年になりわが国を含めて各国の感染対策が緩和されていること,過去2シーズンにわたってインフルエンザの流行がなかったことから免疫獲得の機会が失われていることなどを踏まえると,2022/23シーズンにはインフルエンザが流行する可能性が高いと考えられていた.実際,オーストラリアでは2022年4月から7月にかけてインフルエンザA(H3N2)の流行が報告されており2),COVID -19とインフルエンザの同時流行が認められた.ウィズ・コロナ時代に入ったわが国でも今後,インフルエンザウイルス感染症が毎年冬季に流行し,結果としてインフルエンザウイルス合併感染症が再増加してくる可能性が高いと考えられる.
Copyright© 2023 NANZANDO Co.,Ltd. All Rights Reserved.