コラム
生物テロ(バイオテロ)の脅威
浅利 誠志
1,2
1大阪大学医学部附属病院感染制御部
2大阪大学医学部附属病院臨床検査部
pp.1061
発行日 2005年10月15日
Published Date 2005/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100231
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咽喉元過ぎれば熱さを忘れる…….2001年9月11日,米国世界貿易センターでのハイジャック航空機テロ,続く10月4日には炭疽菌テロ(白い粉事件)が発生したことを覚えているだろうか? 国内でも大阪のアメリカ領事館,関西空港郵便貨物便,新幹線などに白い粉が撒かれ一時は大騒ぎした.しかし,日本では,テロがあったことは覚えてはいるが,バイオテロ対策は全く講じていない病院が大部分ではないだろうか?
ところが,炭疽菌によるテロを実際に受けた米国は違う.バイオテロ対策として検査すべき微生物名,培養方法,測定薬剤およびそのブレイクポイントをClinical Laboratory Standards Institute:CLSIM100-S15(旧NCCLS)に掲載し,世界の感染症関連者にグローバルな警鐘を発している.具体的には,Bacillus anthracis(炭疽菌),Burkholderia mallei (鼻疽菌),Burkholderia pseudomallei (類鼻疽菌),Yersiniapestis (ペスト菌),Francisella tularensis(野兎病菌)の5菌種について明記されている.また,このほかにもコレラ菌,ボツリヌス毒素,天然痘ウイルス,天然痘ウイルスに他のエボラ遺伝子などを組み込んだ改変生物兵器や農作物を狙ったアグロテロも危惧されている.
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