連載 医師国家試験から語る精神・神経疾患・11
目に見えない脅威—酸素欠乏
藤田 眞幸
1
1慶應義塾大学医学部法医学教室
キーワード:
閉鎖空間
,
酸素欠乏症等防止規則
,
酸素欠乏症
,
二酸化炭素中毒
,
一酸化炭素中毒
Keyword:
閉鎖空間
,
酸素欠乏症等防止規則
,
酸素欠乏症
,
二酸化炭素中毒
,
一酸化炭素中毒
pp.1267-1273
発行日 2023年11月1日
Published Date 2023/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416202516
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36歳の男性。意識障害のため救急車で搬入された。夏季に作業のため穀物貯蔵タンク内に入ったところ,間もなく意識を消失して倒れた。作業前に普段と変わったところはなく,所持品に不審なものもなかった。救急隊接触時,全身にチアノーゼを認め,SpO2 88%であった。来院時の意識レベルはJCSⅢ-300。体温37.2℃。心拍数108/分,整。血圧132/90mmHg。呼吸数16/分。SpO2 100%(リザーバー付マスク10L/分 酸素投与下)。心音と呼吸音とに異常を認めない。皮膚は湿潤しており,血管拡張は認めない。血液所見:赤血球530万,Hb 16.0g/dL,白血球6,000。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL,AST 30U/L,ALT 32U/L,CK 22U/L(基準30〜140),尿素窒素16mg/dL,クレアチニン1.1mg/dL,Na 142mEq/L,K 3.8mEq/L,Cl 102mEq/L。心電図と胸部エックス線写真とに異常を認めない。
最も考えられる病態はどれか。
a 一酸化炭素中毒
b 酸素欠乏症
c シアン化水素中毒
d 熱中症
e 硫化水素中毒
(第111回D47 正解b)
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