特集 今こそ知りたい! JAK阻害薬 適応の拡大を追いかける & 免疫系に強くなる
免疫の基礎の基礎⑦ 免疫寛容のメカニズムと自己免疫疾患
吉村 昭彦
1
1東京理科大学 生命医科学研究所 分子病態学部門
pp.201-209
発行日 2025年2月5日
Published Date 2025/2/5
DOI https://doi.org/10.15104/ph.2025020011
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Key Points
JAK阻害薬の適応疾患の多くは「免疫寛容」が破綻した病気である.
免疫系は病原微生物やがん細胞など身体にとって有害な物質を排除する一方で,自己や食物など無害な異物には反応しないように厳密に制御されており,これを「免疫寛容」とよぶ.
免疫寛容のしくみの一端が腫瘍免疫において「チェックポイント阻害分子」とよばれる抑制性受容体群で,ノーベル賞を受賞したことで有名なPD-1やCTLA-4が含まれる.
抑制性分子群が強く発現した状態のT細胞は機能不全,すなわち抗原やサイトカインの刺激に応答できない状態にあり,このような状態のことを「アナジー」あるいは「疲弊」とよぶ.
これらの分子群は遺伝的に発現が低下することで免疫寛容が破綻し,自己免疫疾患やアレルギー疾患を発症する.
Copyright © 2025 NANZANDO Co.,Ltd. All Rights Reserved.