絵で見る免疫学 基礎編66
免疫寛容(2) 経口免疫寛容
高木 淳
1
,
玉井 一
2
1アボットジャパン(株)器機診断薬事業部
2栄光病院
pp.522-523
発行日 2005年6月1日
Published Date 2005/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100034
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毎日われわれが食べている魚類,肉類,鶏卵などは非自己抗原であるが免疫応答を起こさない.これを経口免疫寛容という.一方,消化管に侵入した病原体に対しては防御機構が作動する.血液を介す全身性免疫系と異なり粘膜免疫系は食物抗原と病原体とに対して異なった免疫応答を起こすのである.骨髄で誕生したT細胞前駆細胞のうち自己抗原と反応するものは胸腺で負の選択を受け,大部分は除去されて胸腺から末梢に移行する.しかし,食物由来抗原は非自己抗原なのでこれらと反応するT細胞は除去されず末梢に移行する.粘膜固有層に移行したナイーブT細胞は抗原提示細胞から食物由来抗原や病原体由来抗原を提示されるが,食物由来抗原に対しては免疫応答が起こらない.その理由には次の三つの反応が起こるためであると考えられている.
アネルギーによる無反応
ナイーブT細胞が抗原提示を受けて活性化するためには二つのシグナルが必要である.
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