Japanese
English
特集 臓器移植――限界と挑戦
免疫寛容誘導への挑戦
Challenges to achieving clinical transplantation tolerance
徳重 宏二
1
,
内田 浩一郎
1
Koji TOKUSHIGE
1
,
Koichiro UCHIDA
1
1順天堂大学健康総合科学先端研究機構免疫治療研究センター
キーワード:
免疫寛容
,
臓器移植
,
拒絶反応
Keyword:
免疫寛容
,
臓器移植
,
拒絶反応
pp.707-714
発行日 2021年11月13日
Published Date 2021/11/13
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27907707
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
免疫抑制剤の開発により,臓器移植は標準医療としての位置を確立した.しかし拒絶反応発症予防のための免疫抑制剤の生涯内服による合併症リスクは避けられず,移植後の長期予後・QOLの改善は現在の臓器移植の最大の課題である.生体の維持に必要な免疫反応は維持しながら,ドナー抗原に対する免疫応答を抑える免疫寛容の誘導は理想的な治療となりうる.臓器移植における免疫寛容誘導のアプローチは,造血幹細胞移植を併用するキメリズム誘導と生体内でドナー抗原に選択的な制御性T細胞(Treg)を増幅させる方法で実現されているものの,寛容の誘導と維持に関わるメカニズムや診断のバイオマーカーなど普及に向けて解決すべき課題は多い.わが国発の臨床研究にてドナー抗原選択的な抑制性T細胞を用いることで肝移植では免疫寛容を誘導することが可能となった.この免疫寛容誘導法のさらなる普及に向けて多施設共同の医師主導治験が実施中である.
Copyright © 2021 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.