Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 参考文献 Reference
抄録
【目的】2022年から非侵襲的出生前遺伝学的検査(以下、NIPT)の適応に適切な遺伝カウンセリングを実施しても胎児の染色体数的異常に対する不安が解消されない妊婦が追加された。NIPTに興味を抱く若い世代でも検査を受検できる環境になりつつある。そこで本研究は学生及び妊婦と夫のNIPTの受検を判断する理由について明らかにすることを目的に文献検討を実施した。
【対象と方法】医学中央雑誌Webを用いて「無侵襲的出生前検査」「無侵襲的出生前遺伝学的検査」「非侵襲的出生前遺伝学的検査」「NIPT」で検索した。対象文献は学生のNIPTの受検を希望する判断の理由・希望しない判断の理由が記載されたもの、及び、妊婦または夫のNIPTを受検する判断の理由・受検しない判断の理由が記載されたものとした。分析方法は学生及び妊婦と夫のNIPTを受検する判断の理由をカテゴリー化した。
【結果】対象文献は11件あり、学生を対象とした文献は4件、妊婦と夫を対象とした文献は7件だった。学生のNIPTの受検を希望する判断の理由は【障害児の出産・育児に向けた心構え】、【単純な好奇心】、【障害児の回避】、希望しない判断の理由は【検査を必要としない倫理観】、【検査による負担感】だった。妊婦と夫のNIPTを受検する判断の理由は【不安のない妊娠の希望】、【障害児出産の断念】、【障害児の妊娠継続に向けた決心】、受検しない判断の理由は【検査を必要としない判断】、【どんな子でも受け入れる覚悟】だった。
【結論】学生が将来の妊娠を見据えてNIPTに関する理解を深めるためには当事者意識を高める工夫をしながら遺伝教育を含めたプレコンセプションケアを実施していく必要がある。さらに、妊婦と夫がNIPTの受検についてよりよい意思決定をするには正しい情報提供と相談・支援、精神的サポートの提供が必要である。
Copyright © 2024, The Japan Maternal and Infant Caring Association All rights reserved.