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- Abstract 文献概要
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生から1年半ほどになる.この間に私たちの住む世界は大きく変わった.当たり前のように世界中を行き来していた私たちは,海外どころか県外に行くことも制限され,自分たちの住まい周辺の限られた範囲で日々を過ごしている.会食も飲み会もなくなった.医療現場は常に病床逼迫の危機にさらされ,高齢者ケア施設はクラスター発生の不安とともにあり,人々は毎日の感染者数の変化を息を凝らして見つめている.大学はオンライン講義演習となり,実習すらオンラインで行わざるを得ない.最初は数か月かと思われた感染症による生活変化は,変異株に対するワクチンの効果など不明点も多く,まだ先が見通せない.著名人の死の報道があり,若い世代も含めて「死」をいうものを多少なりとも意識する日常を過ごすようになった.Post Corona(コロナ後)はないのかもしれないとこの言葉は使われなくなり,with Corona(コロナと共に)の時代の模索が続いている.
20世紀初頭に流行したスペイン風邪を知る世代以降の私たちは,こんな世界に生きたことはない.それまでに経験のない事態にどのように立ち向かうかは人によりさまざまである.国別にみても,徹底した隔離政策の中国,国を閉じICT(information and communication technology;情報通信技術)を駆使したマスクの供給などに取り組んだ台湾,集団免疫の獲得を期待したスウェーデンなど,それぞれが正しいと考える施策をつくり,勇気をもって実施し,鋭意評価しながら模索を続けている.国内でも,県により独自の方針をもつところがある.臨床現場の窮状における工夫はいうまでもないが,看護学教育でも対面講義・演習・実習が不可能になり,教員による多様な工夫と努力が続いている.
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