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Ⅰ.はじめに
当院は2009年より東京都世田谷区で在宅医療を実践している.多疾患が併存し脆弱な在宅患者の生命・生活・尊厳を守り支える在宅医療は,地域の看護や介護,病院や行政との連携による包括的ケアシステムとして機能することが求められている.こと新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019;COVID-19)においては,高齢になるほど重症化率や死亡率が高まるため,その最前線である地域ケアを担う者として,医療看護介護が一体となって防波堤としての役割を果たすべく,さらに連携を深めている.
2020年3月のWHO(World Health Organization;世界保健機構)によるパンデミック宣言に始まり,4〜5月の第1波,7〜9月の第2波,それが収束しきらないうちに再燃した第3波と繰り返すたびに波が大きくなり,地域ごとの感染者数やコロナ病床,ICU(intensive care unit;集中治療室)の逼迫度合いに合わせて,地域医療やケアに関わるわれわれの対応も変化していった.2021年3月に2度目の緊急事態宣言が解かれたものの,変異株の台頭も重なり,4月には感染者数はすぐに再燃し,急遽政府はまん延防止策を発令.待ちわびたワクチン接種がようやく4月末から高齢者向けに開始される,そのようなタイミングで本稿を書いている.これを読んでもらう2021年7月には,いったいどういう状況になっているのか,皆目見当もつかないこともこの1年で学んだ.
長引く感染蔓延期で変化した人々の意識とともに,COVID-19に対する在宅医療や地域ケアの役割や対策も広がってきている.筆者は高齢者への在宅医療を実践する立場であり,感染症の専門家ではないため,具体的な感染防護やCOVID-19の症候学についてはほかに譲るが,地域包括ケアにおける看護介護との連携において,高齢者を守り,感染者の在宅死を回避させ,地域医療や保健体制の維持に尽力するための取り組みと地域での体制づくりについて紹介する.
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