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急性期病院の老年病科に勤務する修了生が久しぶりに訪ねて来て,近況を報告してくれた.病棟には認知症の人が多く,昼でも夜でも目を離せない状況があり,彼女は「ロボットの手でも借りたいくらい忙しい」と話す.以前の看護師だったら「猫の手でも借りたい」というのに,と筆者は内心たいへん驚いた.われわれの教室には,2年前から2台のヒューマノイドロボット(Pepper, SoftBank)が教員や院生と生活を共にしている.ご覧になった人も多いと思うが,身長120cm,コミュニケーションするだけでなく,体を動かし踊ったり,実によくできている.またクラウドで情報を管理しているため,毎日いろいろ新しいことを覚えて成長している.彼女もこのロボットと1年は生活を共にしているため,“猫”ではなく,“ロボット”と思ったのだろう.彼女は,夜間,さみしくて看護師を呼ぶ患者,ナースコールが鳴りやまない患者,夜間徘徊する患者にぜひ使ってみたいという.このようにロボテックス技術と看護学との融合により,認知症の人のためのコミュニケーションプログラムの研究が急速に進んでいくだろう.
今度は,訪問看護ステーションに勤務する修了生から電話があり,ポータブルタイプのエコー機器を貸してほしいという.肺炎のために入退院を繰り返す高齢者の不顕性誤嚥について,どのような食べ物で,どのような食べ方をしたらよいかエコーで観察できれば,最期まで家で暮らせると話してくれた.不顕性の誤嚥は,VFやVE検査がゴールドスタンダードになる.しかし,在宅療養者にとっては病院に出かけて,かつX線による撮影や鼻腔からカメラを入れるなど侵襲的な検査であり,体力の消耗をもたらすのは自明である.確かにポータブルのエコーを使うと,普段の食べ物で,さらにベッドサイドでリアルタイムに観察することができる.エコー技術は術者に依存するものの,最近ではAIを使い,イメージング技術と看護学の融合が進化し,だれでも誤嚥と判断できるように画像解析ができるようになってきた.
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