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1.はじめに
特別養護老人ホームしらふじ(以下,当施設)は2007年3月に開設した入居定員50人,短期入所定員10人の全室個室のユニット型特別養護老人ホームである.全職員数53人,そのうちケアスタッフは看護職員5人,介護職員32人,介護支援専門員1人,生活相談員1人である.
筆者は2009年9月に関連病院が運営する介護老人保健施設からケア管理部長として赴任し,2012年からは施設長とケア管理部長を兼任している.施設全体の統括とサービス提供全般に責任を負っている.毎日のユニットラウンドと,必要に応じてケアに加わり,入居者の健康状態等の確認とケアスタッフとの情報交換の機会としている.
さて,2000年に介護保険制度が導入され,高齢者の長期ケア施設には,それぞれの施設の特性に基づき,「生活の質」に重点をおいた支援が求められるようになった.介護療養型医療施設は手厚い医療の必要な要介護者の受け入れであり,介護老人保健施設は居宅における生活への復帰を目指すものであり,特別養護老人ホーム(以下,特養)は高齢者が尊厳を保ちながら自分らしい日常生活を送れる「生活の場」としての役割が期待されている.2015年(平成27年度)地域包括ケアシステム構想に伴い,介護報酬改定で特養への入居基準が要介護度3以上になった.これによって医療依存度が高い要介護高齢者や重度の認知症高齢者を受け入れることになる.入居者が重度化していくなかで入居者の尊厳を保持し,その人なりの自立した日常生活が営まれるように,そして安らかな死を迎えられるような看取りケアなど,個別ケアの実践と高度な医療ニーズへの対応がますます求められることになるのは明らかである.
このような重要なケアにかかわる専門職は看護職,介護職,介護支援専門員,生活相談員,医師,栄養士,など複数の異なる専門職種がそれぞれの専門性を生かしながら,「高齢者の生活をトータルに支える」という共通の目標に向かって連携協働していくことが欠かせない.
長期ケア施設の看護管理として,①認知症ケアの人材育成,②看取りケアの実装,③看護職者への生涯学習支援という今後重要となる3つの課題について,長期ケア施設看護管理者としての立場から日本老年看護学会への期待を論考したい.
なお,本論考に限り,長期ケア施設は特養に限定している.
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