認知症の人とともにつくるまちづくり

Community Improvement Together with People with Dementia

　本稿は，石垣和子第17回学術集会長，ならびにこのフォーラムのコーディネーターの企画意図を受け，パネリストの人選とその発表のマネジメントの役割を担った者として，当日のライブの臨場感を損なわないようにまとめたものである．

　筆者は，当事者としてこのフォーラムのパネリストをお務めいただいた佐野光孝・明美夫妻に，ご自身の生き生きした言葉で認知症を発症してからの体験を語っていただくため，できる限り話しやすい雰囲気づくりを心がけながらフォーラムをナビゲートした．同時に，当日の参加者が，なにを大切にしながらわれわれが共に歩んでいけばよいのかを，人としての感性を開きながら考えていただきたいと考え，フォーラムの冒頭でまず映像をみていただいた．この映像は，夫妻の発症当初から今日までのストーリーと，夫妻に伴走しつつサポートされてきた富士宮市役所の職員や地域包括支援センター保健師の久保田絵美子氏（3人目のパネリスト）とのかかわりを記録したものである．資料は，そのなかから光孝氏のお気に入りの写真をお借りしてつくった抜粋版である．資料の写真1のように，光孝さんは風を切って自由に走り回るオートバイが大好きであった．