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日本老年看護学会第4回学術集会特集 シンポジウム
高齢者のヘルスプロモーションを支える看護の現状と課題
寝たきり予防の保健活動
Community Program to Increase Health Promotion Behaviors in Elderly People
渡辺 庸子
1,2
Yoko Watanabe
1,2
1長野市保健所
2元長野県木曽保健所
pp.29-33
発行日 2000年11月1日
Published Date 2000/11/1
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- Abstract 文献概要
はじめに
昭和26年から55年まで日本人の死因の第1位を占めていた脳血管疾患は,死亡率に関しては順調に低下している.しかし脳血管疾患は寝たきりや痴呆の大きな原因となっており,この疾患に対する対策は依然として保健活動の重要な位置を占めている.木曽保健所では,平成元年より管内の町村・諸団体とともに総合的な脳血管疾患対策に取り組んできた.この事業の目的は疾患の予防と,心身に障害が残ってもできるだけ普通に近い生活を営めるよう,地域のケア体制を整えることにある.障害をもっていても生き生きと生活することができる,そんな地域づくりを目標に公衆衛生活動を展開してきた.「木曽路はすべて山の中」という島崎藤村の小説の一節があるが,木曽保健所管内は木曽郡3町8村から成り,面積はほぼ香川県に匹敵する広さであるが,ほとんどを森林が占めており,人口は約4万3千人,高齢化率は27.8%と過疎高齢化の進む地域である.事業当初の平成元年の脳血管疾患粗死亡率は国が98.5,県152.1,木曽郡191.1と国の約2倍だった.また標準化死亡比は国を100とした場合木曽郡は128.7という状況であった.そんな中で,脳卒中登録事業を始めようと町村の保健婦さん達に相談したが,小規模町村で患者の把握は可能であるということで,あまり積極的な意見は聞かれなかった.そこでデーターをそろえ,まず発症調査から始めてみた.すると保健婦さん達が把握していない患者さんが結構いることが判明した.そんな経過を経て管内町村の保健婦・栄養士,食生活改善推進員,食品衛生協会等の協力を得ながら,脳血管疾患の総合対策に取り組むことになった.
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