特集 地域での寝たきりゼロ作戦
脳卒中の予防と寝たきり予防
嶋本 喬
1
,
磯 博康
1
,
山海 知子
1
,
飯田 稔
2
,
小西 正光
3
Takashi SHIMAMOTO
1
,
Hiroyasu ISO
1
,
Tomoko YAMAUMI
1
,
Minoru IIDA
2
,
Masamitsu KONISHI
3
1筑波大学社会医学系
2大阪府立成人病センター集検1部
3国立循環器病センター集検部
pp.452-455
発行日 1993年7月15日
Published Date 1993/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900834
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◆はじめに
日本人がはじめて経験する高齢社会において,老人の寝たきり,痴呆,それに伴う医療費の高騰などが大きな社会問題となっている.そして,日本人の平均寿命の延長をもたらした要因の一つである脳卒中の予防対策が,高齢者の増加をもたらしたがゆえに,寝たきりや痴呆の増加をもたらした要因であるかのごとき議論さえ,ときに見うけられる.しかし,このような意見は,必ずしも予防対策が十分に実施された地域での検討成績からもたらされたものではなく,対策が不十分にしか実施されなかった地域も含めた全国的な動向からの印象に基づいて述べられることが多い.このような指摘が果たして正しいのか否か,実態に基づく検討成績はほとんどない.ここでは,われわれが長期にわたり脳卒中の予防対策,とくに高血圧管理を中心とする2次予防,高血圧予防を目的とする健康教育を主体とする1次予防を地域ぐるみで推進してきた成績から,予防対策の浸透とともに,脳卒中による有病者や寝たきり者の率,あるいは実数がいかに変化してきたかを述べ,寝たきり防止策確立への資としたい.
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