特集 寝たきり老人ゼロ作戦へのチャレンジ
寝たきりを防ぐ保健婦活動
別名 きくえ
1
1兵庫県加西市役所
pp.356-362
発行日 1991年5月10日
Published Date 1991/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900232
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はじめに
「こちらにおりますから」と案内されたのは納屋の一隅を改造した一室で,老人は家族の住む母屋から離れて1人ポツンと布団に寝かされていた。「年老いて動けなくなったら家族の一員ではなくなるのだろうか。この人の人生は一体何だったんだろう」と驚きとショックで声も出なかった。これは昭和59年3月に,寝たきり老人実態調査訪問をした時のことである。
訪問を重ねるうちに,看護ケアや指導するだけでは,対象とする個人の問題の幾つかに役立ち改善するだけで,大勢や住民意識は何も変わらないことに気づき,訪問で学んだことを予防活動に,保健や福祉に対する市民の声を代弁していく必要性を痛感し,「在宅ケアの推進」に取り組んだ。すすめていくうちに,寝たきりになった人の対症療法ばかりより,寝たきりをつくらない予防活動をすることがもっと重要であると気づき,保健活動の目標も「寝たきりゼロの町づくり」へと変わってきた。
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