焦点
自立とQOL向上を支える社会資源としての医療機関
山本 良子
1
Ryouko Yamamoto
1
1南一条病院
pp.17-25
発行日 1998年11月15日
Published Date 1998/11/15
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はじめに
介護保険導入を目前に控えた今,医療機関どうし,医療機関と施設や在宅ケアの場等々の連携はまだまだ不十分で,地域の高齢者達の不安は解消されていない.いや,それどころか,診療報酬改訂の動向は在院日数の短縮化指向を強めており,要介護の高齢者達は自律的,自立的に在宅生活を選ぶ余裕すらないまま,準備も不十分な状態で退院の日を迎えている状況である.
筆者は,主として脳卒中の重複生活障害者の帰宅可能性拡大に向けた研究やシステムづくりを医療機関を拠点として行ってきた立場から,今まで取り組んできたことを紹介し,自立とQOL向上を支える社会資源のひとつとして,各医療機関が役割を果たすための課題について3点ほど問題提起する.
一点めは,生活の場を医療の受け手自身が選択し,それを保証していく支援体制づくりに向け,看護はどう取り組むのか,という点である.二点めは,一点めの課題にチャレンジしつつも,現状の中での取り組みとして,高齢者の療養生活を支えるために地域と施設間の連携,更に施設間連携を促進し,看護の受け手に対する情報の共有と看護職の相互理解を行うことの意義を強調したい.三点めは,自立とQOLの向上に向けたケアマネージメントにおける課題について私見を述べたい.
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