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緒 言
急性期看護学実習とは、全身麻酔で手術を受ける成人期から老年期の患者を受け持ち、術前から術後の看護過程を展開する(佐藤,2012)実習であり、A 校の実習要綱によると、侵襲的治療である手術療法を受ける急性期患者を全人的に理解し、手術侵襲からの回復及び社会復帰への適応を促進するための看護実践力を養うことを目的としている実習にあるとされている。すなわち、手術を受けることが前提にあり、看護学生は手術を受ける患者の身体的、心理的、社会的側面を捉えながら看護展開することを学ぶことになる。しかし、医療の高度化に伴い、在院日数は短縮化し長期に渡り入院から退院まで1 人の患者を受け持つことは難しくなっている現状がある。そのために、「限られた時間の中で、受け持ち患者に対して学内で学んだ知識や技術を実践する機会の確保が困難になっている」(村田,2020)ことが大きな課題である。その限られた環境下で実習が進められる中、看護学生は机上学習で培った知識を活用し看護過程を展開させていく。特に、侵襲を受けた日より数日間持続する障害期や転換期では、術式や個別の背景にあるリスクにより回復過程が異なることからも、知識や思考過程が追い付かず、スピード感のある急性期看護学実習では、島田 (2007)は、実践できる知識の統合や発展にまで至らない状況にいると述べている。そのためか、看護学生にとって実習は「難しい」「怖い」「展開についていけずに落ちるかも知れない」など、緊張度が高く不安の強い実習の1 つとなっている。 それとは逆に、 手術室見学ができることや、 ICUなど高度医療を必要とする生体侵襲の大きな事例を見ることができるという期待の大きな実習でもあるといえる。しかし、「学生が患者を受け持つ期間が短くなることにより実習の学びへの影響も懸念される」(橋本ら,2014)にもあるように、全ての学生が周術期にある患者の術前から退院までと、一連の流れを通した事例を受け持てる保障はなく、経験できなかった学習に関しては、カンファレンスなどを通して学びを共有するなどの工夫を必要とすることもある。
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