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Ⅰ.はじめに
わが国の新生児死亡率(Neonatal mortality rate;per 1000 live birth,以下、NMRと記す)は、0.9となり、世界的に最も低く、「安全に出産ができる国」といわれている(UNICEF, 2018)。わが国が属する“西アジアおよびアジア太平洋地域”における平均NMRは8であるが、NMRが高い3カ国(パキスタン45.6;中央アフリカ共和国42.3;アフガニスタン40.0)が属しており、地域格差が大きく、改善努力がなされている。
モンゴル国(以下、モンゴルとする)は、西アジアおよびアジア太平洋地域において、Skinto-Skin contactの導入によりNMRを改善したことを国連児童基金が報告している(UNICEF, 2018)。Skin-to-Skin contact実践は、新生児の啼泣時間の減少(Christensson et al., 1992;Bystrova et al., 2007)、心拍数の早期安定(Takahashi et al., 2011)、血糖値の維持(Takahashi et al, 2018)、分娩時ストレスの減少(Bystrova et al., 2003;Takahashi et al., 2011)などの新生児の胎外生活適応への効果が報告されている一方で、Skin-to-Skin contact中の新生児の急変事例も報告されており、わが国では、全国的に普及はしていない(日本周産期・新生児医学会 他,2012)。したがって、我々は、モンゴルにおける新生児看護実践を含む周産期医療および保健行政の実際を知りたいと思い、以下のプログラムに参加した。
我々は、2018年8月20日から8月25日の5日間、名古屋大学大学院医学系研究科主催のモンゴル国研修“MONGOLIA-JAPAN STUDENT'S JOINT WORKSHOP 2018;MATERNAL AND CHILD HEALTH CARE”に参加する機会を得た。本研修は、名古屋大学医学部医学系研究科医療行政学研究室(濵嶋信之教授)が2015年から開始した本年度で3回目となる短期型国際交流プログラムである。本プログラムの特色として、各回異なる研修テーマを定め、研修テーマに即してモンゴル国立医科大学医学生と本校の学生の学術交流、現地の保健医療施設の見学、社会・文化体験が実施されている。この研修を通じて、医学生たちは、多様な健康・保健問題の理解や国際交流を経験する。
今回、我々は、本研修に同行し、モンゴルの首都ウランバートルにあるNational Center for Maternal and Child Health, Joint Commission International(以下、JCIとする)の認証をもつIntermed Hospital産科病棟、および、ウランバートル郊外にある診療所であるErdene Soum Health Centerを訪問する機会を得たので、モンゴルにおける周産期医療の実際および保健医療の現状について報告する。
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