第4回日本看護医療学会学術集会 シンポジウム
看護職は鏡にどのように映っているか:とりまく人々を鏡として
NOと言える看護師が良い看護師
隈本 邦彦
1
1NHK名古屋放送局報道部
pp.44-45
発行日 2002年12月25日
Published Date 2002/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7009200196
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①NOと言える看護師の3つの条件
新米の医師が間違った薬を処方しようとしたら、看護師はどう対応するべきか。ベテラン看護師の模範解答は「患者さんの前で、先生の間違いを指摘してはいけません。また処方すべき薬をあなたが言うのもよくありません。先輩の医師の名前を出して『○○先生は××を処方されてました』とやんわり言いましょう」というものだった。これが現在の日本における医師—看護師ゲームのルールなのだろう。
しかし私か取材を通じて知ったアメリカ・ベスイスラエル病院(当時)の看護師は違っていた。医師がやろうとしていることでも、患者のためにならないと考えたらNOという。こうして医師に向かって「NOと言える看護師」の条件を分析してみると、「気が強い」「医学的知識と患者の状態把握が十分である」「患者の権利擁護者の立場に立っている」の3つであった。日本の多くの看護師が、「気が強い」以外の条件を満たすようになることが、日本における看護師の地位確立のためには欠かせない。そして、そうした流れの先に、患者にとって安全で納得のいく医療が受けられる時代が来る。最近、日本看護協会も「NOと言える看護師」キャンペーンを始めたが、これは「違法な行為を求められてもしない」という限定的内容に過ぎない。これを看護師の業務全般に発展させる必要があると思う。
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