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はじめに
私は、社会福祉士・ソーシャルワーカーです。
看護医療の専門誌の重要な「総説」欄に、門外漢である他分野職種の者が身の程もわきまえずに寄稿する非をまずご寛恕ください。
私は、昭和55年4月から定年退職した平成6年3月まで、愛知県の児童相談所で児童福祉司などの業務に従事しました。在職中に、社会福祉士資格を取得し、退職後は、大学の非常勤講師やNPOの役員などを務め、里親さんたちからのご相談を受ける無報酬の「社会福祉士相談室」を主宰しています。
まず初めに、子どもの福祉は、看護・医療と密接に連携しており、多くの専門職者の皆さまから助けられて仕事をしてきましたので、感謝の気持ちをこめて、心から厚くお礼を申し上げます。
私が子どもの頃にあこがれていたのは、「大工さん」です。魔法のようなカンナ削りに見とれていました。後年、知ったことは、棟梁と呼ばれるようになるまでに、長い長い下積み期間があり、兄弟子たちよりも朝は早く起き、夜はみんなが寝た後まで道具の手入れと使い方に励み、休み無く棟梁や先輩たちの仕事ぶりを近くで見聞きして、失敗を重ねつつ腕を磨いて、今の地位を得たという「体験」でした。江戸時代からの「職人」という呼び名には、そうした熟練者への敬意がこめられているように、私は思います。現代語ならば、「専門職者」でしょう。
看護医療に従事する皆さんは、まさに、その専門職を代表する方々だと、尊敬しています。
私も人生の後半にめぐりあった児童福祉司という仕事で、「職人」を心がけたものの、未熟なまま定年を迎えてしまいました。
さいわい、退職後も社会福祉士として、無給奉仕の社会活動を続けることができて、「職人」生活を継続していますが、その中で印象に残っている体験を記します。
ただし、個人情報保護のため、固有名詞は仮名や記号などに変換し、関係者が特定されないように、時期や場所に関しても表記を修正してあることをお断りしておきます。
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