特集 委託外注のチェックポイント
委託外注の動きとその背景
黒田 幸男
1
Yukio KURODA
1
1国家公務員等共済組合虎の門病院事務部
pp.561-564
発行日 1985年7月1日
Published Date 1985/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208617
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委託外注をめぐる社会情勢の変化
1)人材派遣業の法制化
法制化される業務と企業メリット
昨年末より本年にかけて,委託外注の方向を大きく左右する情報がいくつか打ち出され,関係者の注目を集めている.そのうちの一つが労働者派遣事業法であり,この6月に法案の成立をみた.これは最近,確実に進みつつある高年齢化や技術革新による産業構造の変化に伴い,企業採算を維持するための減量経営の実施などが迫られている企業側の事情と,雇用機会の拡大を望む労働側の都合により生まれたものである.例えば,最近の経済企画庁調査によっても明らかなように,パートタイマーなどの臨時職員は現在6人に1人の割合であるが,21世紀には3人に1人になるといった厳しい事態が予測されていることから見ても,労働環境の変化の程度が理解できよう.また,下請企業,派遣労働者が急増し,雇用や就業形態が流動化して,働く価値観が変化していく中で,それらの業務に従事している人々と企業側との間のトラブルが多発するのを解消し,委託外注制度が現実的に合うよう職安法を見直し,野放し状態にある人材派遣業を法的に認知するのと同時に,必要な規制をしていくのが狙いのようである.
具体的には今後の法整備に伴って明らかにされてくるが,その内容をめぐって労使双方間で活発な論議が展開されたことは記憶に新しい.
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