特集 不妊と不育の新たな課題
13. 里親・特別養子縁組制度についてのカウンセリング
奥島 美香
1
,
繁田 実
1
1府中のぞみクリニック
pp.1861-1865
発行日 2017年12月1日
Published Date 2017/12/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000261
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生殖医療の技術は進歩したが,すべての患者が妊娠に至るわけではない。治療をしても妊娠・出産に至らない患者には,精子・卵子・受精卵(胚)の提供による(第三者のかかわる)生殖医療を受けるか,里親・特別養子縁組制度を受けるなどの選択肢がある。今回われわれが実施したアンケート調査より,里親・特別養子縁組の相談者の多くが不妊治療経験者であることがわかった。2016 年児童福祉法の改正を受け,家庭に近い環境での養育が推進されたことで,不妊治療経験者も養親となることが期待されている。里親・特別養子縁組制度においては,親を主体とする不妊治療とは違い,養育される子どもが主体の「子どもの福祉を優先する制度」であり,子どもが欲しい人のための選択肢でないことを,患者のみならず不妊従事者(情報提供者)は理解しておくことが重要である。情報提供する時期については,不妊治療の限界を迎えた夫婦がこれらの制度を選択するのではなく,子どもを養育したいと願う夫婦の1 つの選択肢として情報提供するべきである。
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