Japanese
English
総説
教科書からみた患者教育変遷の概観
Trends in Nursing Text Books for Patient Education
芥川 清香
1
Kiyoka AKUTAGAWA
1
1広島国際大学
1Hiroshima International University
キーワード:
患者教育
,
教科書
,
歴史
,
看護教育
,
Patient Education
,
Textbook
,
History
,
Nursing Education
Keyword:
患者教育
,
教科書
,
歴史
,
看護教育
,
Patient Education
,
Textbook
,
History
,
Nursing Education
pp.10-18
発行日 2012年6月30日
Published Date 2012/6/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7009200071
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Ⅰ.緒言
看護の中での患者教育の位置づけは、それのみが独立してあるのではなく、看護実践の中で行われることが多い。看護は教育とつながるものであり、看護そのものの中に教育が成立するといわれてきた(大浦,1974)。しかし、日本の医療は治療中心であったため、「看護」と「患者教育」は分化して取り扱われていた。患者に対する教育は「衛生教育」や「健康教育」、「保健教育」など多様に呼ばれており、主に医師や保健師が携わっていた。看護師が患者教育に関わるようになったのは、看護の考え方が病人・病気中心から、人間・健康中心へと看護の視座が大きく転換した1967年の看護カリキュラム改正からである(佐藤,2001)。
しかし、終戦直後は、患者教育という役割意識をもった看護師の存在は少なかった。看護業務の一般を水野は「看護婦の業務は、全て医師のためにあり、医師への奉仕が第一に要求されてきた」(水野,1955)と述べて、当該時期における医師に対する看護師の従属を特徴付けている。水野の見解は、医師に逆らってでも患者の立場にたった、あるいは医師よりも医療的知識・経験が豊かであった看護師個々人の事例等は閑視されており、大雑把な概論的一般論的把握であることは否めない。だが、戦前からの医療社会におけるヒエラルヒーが、戦後においても継続されていたという視点では首肯しうるものであろう。
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