第12回日本看護医療学会学術集会 会長講演
看護の新たなあゆみへの開幕
久納 智子
1
1藤田保健衛生大学 医療科学部看護学科
pp.57-60
発行日 2010年12月30日
Published Date 2010/12/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7009200048
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はじめに
NPという職種については、昨年8月に厚生労働大臣下に立ち上げられた「チーム医療の推進に関する検討会」で、医療の中核を担う医師と看護師の業務のあり方を考えるにあたり、アメリカで活躍しているNPの導入についても触れ、日本版NPの導入も検討されているという内容から知るに至った。
「チーム医療の推進に関する検討会」を立ち上げた理由は、「医師不足」や「国民医療費」「医療サービス評価の低下」など医療危機状況への対応策を検討するためであり、当初は、「信頼に支えられた医療の実現 ─医療を崩壊させないために─」に向け、「チーム医療の促進」の中でも医師の業務を看護師などへ委譲することの要望が出されたことについて論議されていた。そして、本年2月の第10回会議で、「特定看護師」の法制化を盛り込む方針が出され、厚生労働省は、国民に対し、「特定看護師(仮称)」という新しい職種の導入と実際の活用について動き出す方針を提示するに至った。ここで突然「特定看護師」という名称が公に提示された。この提示は、昭和23年の保助看法制定より、現在にいいたるまで大きな法改正をみないまま本法律に基づいて職務を遂行してきた看護職にとって、単なる業務拡大だけでなく新職種の出現という大きな変革期を迎えることになるといえる。
今回、学術集会のテーマを「日本におけるNP(ナーシプラクティショナー)─その可能性と課題─」としたが、特定看護師の提示はかなりタイムリーであった。今回の学術集会が看護師の業務拡大、CNSの役割、特定看護師、NP等をふまえ日本の看護職の将来について意見交換できる機会となることを期待したい。
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