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1.がん医療の現況
今、社会の動きは地域の住民が主体となる地方分権の政策へと転換されつつある。この時代にあって、看護は住民の健康問題に大きく関わっていることから、地域社会に属し日常生活を営んでいる人々を対象にした看護が重要になる。特にがんにおいては、生活習慣病や国民病と云われるようになり、食文化、生活スタイル、環境などが関係していることが理解されてきた。そして、がん診断・治療の進歩に伴い5年生存率も高くなってきたため、以前のようにがん=死というイメージは薄れてきたが、外来治療を受けながら長く生きている患者が多くなっている。一方、がんは1981年から継続して死因第1位を占めており、2025年には高齢者の増加に伴って1/2〜1/3の人々ががんに罹り、約1/3の人々が死亡すると予測されている。このことから、人々はがんに恐怖感を持っていることもまた事実である。それ故に、がん看護は、人々の日常生活に根ざしたがん予防からがん治療への援助、がんと共に生きる人の支援、終末期に至ったがん患者のターミナルケアに至るまで、いろいろな場面での看護がある。
厚生労働省は、「第3次対がん10か年総合戦略」(2004年)や「がん対策推進基本計画」(2007年)を実施するなかで、“がん予防の推進”“がん医療の向上とそれを支える社会環境の整備”“がん研究”に力を入れており、がん看護師にも幅広い役割やがん看護の質を求めている。そのために、大学院教育でがん看護専門看護師育成や6ヶ月研修で認定看護師育成を行っている。また、がん看護師のジェネラリストとして、厚生労働省主催の40日研修の“がんにおける質の高いがん看護師育成”等も行っている。今後、これらのがん看護師がネットワークを密にし、地域に根ざしたがん看護を実践していくことが期待されている。
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