寺本の著書『看護のなかの死』で実践された終末期がん看護のケアリング—CPCNを評価指標に用いた分析

Caring during Terminal Stage Cancer Nursing as Practiced in Teramoto's Book "Death in Nursing": Analysis Using CPCN as an Evaluation Index

Ⅰ．研究の背景

　ケアリングは看護の核であり，卓越した看護実践として熟練した看護師の実践する質の高い看護のなかに見出されている^1）．そのため，がん看護に携わる者は，質の高いケアを提供するためにケアリング能力を高める必要がある^2）．

　がん看護のケアリング研究では，終末期がん患者の希望が支えられるなど5つのケアリング^3）や，終末期の若年性がん患者へのケアリングとして残された時間のなかにある日常を尊ぶなど^4）が明らかにされている．また，進行がん患者のスピリチュアルペインのためのケアリング^5）や，ニューマン理論に基づく実践的看護研究^6）が報告されている．しかし，ケアリングは抽象度の高い概念であり，統一した見解を得られていないため^7），同じケアリングの定義に基づいて継続した研究を行い，妥当性を高めていく必要がある．