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Ⅰ.緒 言
乳がん治療関連リンパ浮腫(breast cancer treatmentrelated lymphoedema;BCRL)は慢性進行性の病態であり,浮腫の発症や悪化を予防するために生涯セルフケアを必要とする1).Ridnerらの系統的レビューによると,BCRLセルフケアで効果があると考えられるのは全身運動と第2相複合的治療である1).第2相複合的治療は,用手的リンパドレナージ(manual lymphatic drainage;MLD),セルフリンパドレナージ,スキンケア,圧迫療法,エクササイズおよびリンパ浮腫予防行動などのケアを複合的に実施することで効果があると考えられているが,それぞれのケアの効果は明確になっていない.特にMLDは,系統的レビューでリンパ浮腫緩和効果がない,または小さいことが報告されている2)3).MLDは,複雑かつ時間を要するため,セルフケアに対する負担感が増加する可能性がある.患者は時間,エネルギー,知識,動機づけの不足などからセルフケアに負担を感じ4),セルフケアに対するアドヒアランスは良好ではないという報告がある5).良好なセルフケアアドヒアランスは,知識,自己効力感,ストレス対処に対する自律能力などと関連6)しており,これらの要素とリンパ浮腫緩和に有効な要素を含むBCRLセルフケアプログラムが必要である.
これらの背景から,有永らは,BCRL患者用に改変したラジオ体操第17),太極拳呼吸法を用いた上肢エクササイズ8),首,肩から鎖骨窩周辺に向かってリンパ液をドレナージする中心リンパクリアランス,スウィートアーモンドオイル+0.5%グレープフルーツ精油を用いたセルフリンパドレナージ(SLD)(アロマセラピードレナージ)で構成する1日約10分の簡易なBCRLセルフケアプログラムを開発した.その後,BCRLに対する3カ月間の本セルフケアプログラムの効果検証を実施した結果,有意に患側上肢体積およびリンパ浮腫関連症状が減少した9).一方で,患側上肢体積が増加した事例もみられた.3カ月後の患側上肢体積の増減に影響した要因の解明は,今後どのような患者に対してどのような付加的なケアが必要か,個別的なセルフケアの教育内容を検討するうえで重要である.
以上の理由から,3カ月後の患側体積変化とベースラインにおける患者特性との関連について2次解析を実施した.
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