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Ⅰ.緒 言
わが国の乳がん罹患患者数は年々増加傾向を示し,女性の乳がん罹患率は40歳代後半から50歳代前半にピークを迎える1).この年代の女性は,一般的に就業先および家庭における妻・母親など,多様な役割を担っている.乳がん治療は,そのような女性たちの,治療後の機能障害や女性性の喪失,がんとの対峙,再発への不安が相まって,多様な心理社会的問題を引き起こす2)3).
乳がん治療の第一選択は手術療法で,術後病理診断で再発・転移の中間・高リスク群と診断された患者は,さらに化学療法が選択される4).手術を受けた患者は,ボディ・イメージの変化や上肢機能障害などにより日常生活や社会的役割に影響が生じ5)〜7),また化学療法を受ける患者は,吐き気や味覚障害,倦怠感などの身体症状が家事能力や意欲・活動性の低下,他者との関係性などへ影響し8)〜10),他のがん患者に比べ状態不安11)や気がかりが高いことが明らかとなっている.化学療法中の患者は,治療が継続できるように日常生活や役割の調整,副作用のセルフマネジメントが課題であるが,その行動の獲得には,有効な情報や他者からの支援を必要としているといえる.長期にわたり通院治療を続ける患者は,医療者に自分たちを理解する姿勢や,完治の保証,病気や治療などの情報を求めている12)13).また,乳がん患者への効果的なソーシャル・サポートは情緒的安定に効果がある14)〜18)と報告されており,患者の気がかりへの対応やソーシャル・サポートの視点での支援の重要性が示唆されている.
本研究は,病気の告知,手術,その後間もなく化学療法の開始といったストレスの連続する状況下の乳がん患者を対象とし,患者が認識している気がかりとソーシャル・サポートとの関連を明らかにすることを目的とし た.
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