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Ⅰ.はじめに
近年,人口の高齢化,ライフスタイルの多様化に伴いがんの罹患数は年々上昇傾向にある.その中で婦人科がんの罹患数も増えており,特に子宮頸がんでは若年層の増加が目立つ1).この婦人科がんの術後後遺症のひとつであるリンパ浮腫は,一度発症すると完治は非常に困難であり,進行に伴いQOLに影響を与え,身体的,精神的な苦痛,さらには経済的な負担も生じる2)3).リンパ浮腫に対しては外科的治療,保存的治療などが施行されているが,確実に完治にいたる治療法は確立されていない.そのためリンパ浮腫は発症を予防する,あるいは早期発見,早期介入により重症化しないことが重要であり,長期に渡るセルフケアを必要とする.自発的なセルフケアの実践には知識が必要であり4),リンパ浮腫予防に向けて2008年に「リンパ浮腫指導管理料」が保険収載されたことで,術後患者が予防教育を受ける機会が増えたと予測される.リンパ浮腫予防の知識と活用は,リンパ浮腫発症者の方が未発症者に比べて低い5)ため,早期からの予防行動は有用であり,知識の定着を促す教育方法6),セルフケア支援プログラムの開発7)も示されている.このような背景において婦人科がん術後のリンパ浮腫予防のセルフケアに対する思いを明らかにした研究8)はあるが,実際に婦人科がん術後の患者がどのような情報,知識を得てリンパ浮腫予防のセルフケアを実施しているかについては十分に明らかにされていない.今後リンパ浮腫予防へのセルフケア実施に向けて適切な予防指導・教育を実践するには,まずリンパ節郭清術後の患者の実態を把握し,セルフケアの実施にはどのような要因が関連するかを明らかにする必要があると考える.
以上から,本研究では婦人科がんリンパ節郭清術後患者のリンパ浮腫予防のセルフケア実施状況とそれに関連する要因を明らかにし,今後のリンパ浮腫発症予防への一助としたい.
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